産地ガイド
ジャパニーズウイスキー完全ガイド:歴史と主要蒸留所
竹鶴政孝の挑戦から始まり、世界を驚かせるまでになったジャパニーズウイスキーの歴史と、知っておきたい主要蒸留所を徹底解説。
ジャパニーズウイスキーの誕生
日本のウイスキーの歴史は、一人の男の執念から始まりました。竹鶴政孝(1894〜1979)は、大阪の造り酒屋に生まれ、本場のウイスキーを学ぶため1918年に単身スコットランドへ渡りました。
現地の蒸留所で修行しながら膨大なノートを取り続けた竹鶴は、2年後に帰国。1923年、寿屋(現サントリー)の創業者・鳥井信治郎と組み、京都・山崎に日本初の本格ウイスキー蒸留所を設立します。
1929年、日本初の国産ウイスキー「白札」が発売されます。しかし当時の日本人の口には合わず、売れ行きは芳しくありませんでした。それでも竹鶴は諦めず、1934年にニッカウヰスキーを設立。北海道・余市に蒸留所を構え、スコットランドに最も近い気候を求めてウイスキー造りを続けました。
世界を驚かせた日本のウイスキー
長年マイナーな存在だったジャパニーズウイスキーが世界に認められたのは2000年代のことです。2001年、ニッカの「余市10年」がウイスキーマガジン誌で最高賞を受賞。世界のウイスキー評論家を驚かせました。
2003年、サントリーの「山崎12年」が「ワールド・ウイスキー・アワード」で金賞を受賞。2015年には「山崎シェリーカスク2013」がウイスキーバイブルで世界最高スコアを獲得し、世界中でジャパニーズウイスキーへの注目が一気に高まります。
この影響で輸出量が急増。国内でも山崎・白州・響といった人気銘柄は品薄となり、プレミア価格がつくほどの人気ぶりです。現在では東京・大阪の免税店に世界中のウイスキーファンが訪れ、ジャパニーズウイスキーを買い求めています。
主要蒸留所と特徴
【サントリー山崎蒸留所(大阪府)】1923年設立の日本最古の蒸留所。桂川・宇治川・木津川の三川が合流する地に位置し、日本有数の霧深い気候がウイスキーの熟成を助けます。山崎12年・18年・25年などを製造。
【サントリー白州蒸留所(山梨県)】南アルプス・甲斐駒ヶ岳の麓、標高約700mに位置する「森の蒸留所」。軟水と清涼な空気が、緑のハーブを思わせるフレッシュな白州の個性を生み出します。
【ニッカウヰスキー余市蒸溜所(北海道)】スコットランドに最も近い気候を求めて竹鶴が選んだ地。石炭直火蒸溜という伝統製法を守り続けており、力強くスモーキーな余市モルトを生み出します。
【ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所(宮城県)】新川川(にっかわがわ)と広瀬川が合流する地に1969年設立。余市とは対照的に、蒸気間接加熱による華やかでフルーティなスタイルが特徴です。
【ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所(埼玉県)】2008年設立のクラフト蒸留所。肥土伊知郎氏が少量生産・高品質にこだわり、「イチローズモルト」として世界的評価を獲得。クラフトウイスキーブームの火付け役です。
ジャパニーズウイスキーの特徴と楽しみ方
ジャパニーズウイスキーの最大の特徴は「繊細さと複雑さの共存」です。スコッチのような主張の強さとは異なり、各要素がきれいに溶け合い、余韻が長く続きます。
もうひとつの特徴が「ミズナラ樽」の使用。北海道産の水楢(ミズナラ)で作られた樽で熟成すると、白壇やビャクダンを思わせる独特のオリエンタルな香りが付き、これが「ジャパニーズ」らしさの象徴とも言われます。
飲み方はハイボールが日本では定番ですが、上質なジャパニーズモルトはストレートやトワイスアップ(ウイスキーと同量の水で割る)でゆっくり香りを楽しむのがおすすめです。和食全般との相性も抜群です。